2012年05月30日

試験時に接続で間違え易いパターン

コロナ放電試験器メーカーのアドフォクスです。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

昨日はアドフォクスがある東京都青梅市でも雷が鳴り、PCでの仕事に気を使いました。
データやPCが壊れたときに被害が大きい場合には無停電電源を入れたりしますが、私の仕事は細かい仕事が多く停電対策は後回しになっていました。

コロナ放電・部分放電対策室 河辺駅前
(写真) アドフォクスから見た河辺駅

HDのバックアップは定期的に取っているのですが、停電対策も検討しておきたいと、雷の音を聞きながら思った次第です。



さて今回は、コロナ放電試験器を使用した際に、よく間違える配線について説明します。
いざ部分放電やコロナ放電の測定を始めたら、どうも結果が不安定でおかしいという場合に参考になればと思います。

(1) コア−コイル間
図1-1では巻線の片側@に高圧を印加し、残りAの側は接続していません。
恐らく多くの方がAは@と同じ電位になると思われるのではないでしょうか。

コロナ放電・部分放電対策室 接続1
(図1-1) よく間違える接続

しかし図1-1に灰色で容量を書いたように、コイル内には分布容量が存在します。
分布容量が存在する為に、@に対してAは周波数と位相が変化します。
そしてこの結果、測定値が不正確になります。

これを安定させる為には図1-2のように、@とAをショートさせます。

コロナ放電・部分放電対策室 接続1-2
(図1-2) 正しい接続

@とAが同位相になり、測定結果が安定します。


(2) 通常の測定
通常の測定の場合には一次コイルの端Aと二次コイルのBを接続した上で、二次コイルの両端、CとBにH(高圧)とL(リターン)を接続します。

コロナ放電・部分放電対策室 図2
(図2) 通常の接続

更に測定周波数も実使用条件に合わせるのが良いでしょう。

また、コアをグランドする場合があります。

コロナ放電・部分放電対策室 図3
(図3) コアをグランドする場合

一般的に高周波トランスはコアを浮かし、低周波トランスはグランドして使用されます。
実使用状態に合わせた接続にして下さい。

さて、図4では一時側を切り離していますが、これは不安定になる接続です。

コロナ放電・部分放電対策室 図4
(図4) 一次側を切り離してはいけない

一次コイルの両端@Aが浮いている為に、一次コイルと二次コイル間の電位が定まらず測定値が不安定になってしまい、実使用状態と異なってしまいます。

恐らく実使用状態ではAとBが接続されている筈です。
図2のようにAとBを接続して下さい。


図5では一次コイルに近い側のBにH(高圧)、遠いCにL(リターン)を接続しています。

コロナ放電・部分放電対策室 図5
(図5) 一次に近い方にH(高圧)は接続間違いの可能性が高い

この接続では二次コイルの一次コイルに近い側に高圧を印加するので、一次コイルと二次コイル間の電位差が急になり、危険な状態になります。
恐らく実使用状態と違うのではないでしょうか。
図5はまず大抵が接続ミスの筈です。実使用状態を確認し直して下さい。


よく間違える配線についての説明は以上です。
ご不明な点など御座いましたら、当社アドフォクスのお問い合わせフォームまでご質問下さい。



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部分放電試験器・コロナ放電試験器 (アドフォクス測定器トップページ)
コロナ放電解説記事(トランジスタ技術2009年3月号掲載)
アドフォクス 御問合せページ
M&M Corporation : Exclusive Agency in Korea
Corona discharge and a partial discharge laboratory (the Korean version)
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2012年04月13日

コロナ放電試験器レンタルについて

コロナ放電試験器(部分放電試験器)のメーカーのアドフォクスです。
皆様お久しぶりです。

春らしい暖かさが到来し、服装も春らしくなってきました。

コロナ放電・部分放電対策室 本日の大岳山
(写真) 本日の大岳山

ただ、花粉症の人は大変だと思います。
物を外に置いておくと短時間でも黄色い粉がパラパラと乗っているのが見えて、見ているだけで鼻水が出てきます。

気温の変化が激しいときには体への負担が大きいものです。
皆様、体調にはくれぐれも気をつけて下さい。


さて今回は当社のコロナ放電試験器XTシリーズのレンタルについてです。

XTシリーズはおおよそ100万〜200万円ぐらいの価格帯の試験器ですが、急に試験が必要な場合に購入できる予算があるとは限らないものです。
また、コロナ放電試験器を一定期間しか必要としない場合もあります。
そんな場合の為に、当社ではコロナ放電試験器XTシリーズのレンタルを行なっております。

コロナ放電・部分放電対策室 XTシリーズ
(写真) XTシリーズはレンタルもしています

使い方はいたって簡単ですが、操作前に取扱説明書はよくお読み下さい。
コロナ放電試験器からは高周波・高電圧が出力されますので、試験の際には接続を十分にご注意下さい。
そして交換する際など、被試験物を触る際には必ず停止状態を確認して下さい。

一ヶ月あたりのレンタル料金はおよそ15万〜30万円ですが、正確な料金はお問い合わせ頂きたく、よろしくお願い致します。
(2ヶ月目以降も別途見積りになります)


また、レンタル以外には受託試験というサービスも提供しており、また、コロナ放電試験器XTシリーズは販売も行なっております。
それぞれ、ご都合に合わせて利用して頂ければと思います。

当社では現場で困っている方と共に考えながら、こういったサービスを提供するようになりました。
コロナ放電や部分放電にてお困りの際には、まずは当社アドフォクスまで気軽にご相談下さい。


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2012年03月28日

高周波部分放電試験(コロナ放電試験)にて電荷量を表示しない理由

部分放電(コロナ放電)試験器のメーカー、アドフォクスです。
皆様お久しぶりです。

一昨日3月26日の晩には金星と月と木星が一直線に並んだ光景が見れました。
月も惑星もいつも見ている夜の景色ですが、並びが違うだけで受ける印象が変わるのは面白いものです。

部分放電・コロナ放電対策室 金星と月と木星が直線に並ぶ
(写真) 金星と月と木星が一直線に並ぶ


さて、以前に「高周波の部分放電は電荷量が分からない」という記事を書いた事がありました。
この件は非常に質問が多く、現場で困っている様子が当社まで伝わって来ます。
そこで今回は改めて、表現を変えて書かせて頂きます。


………
近年は高周波で使用する部品やインバータ駆動によるモーターが増えるに伴って、サージが発生したり部分放電(コロナ放電)が発生し、それによって絶縁層や巻き線がダメージを受ける現象が増えています。

部分放電・コロナ放電対策室
(写真) 絶縁層や巻き線

インバータ駆動によるモーターの試験方法を定めたIEC文章(IEC61934TS)がありますが、内容に不十分な箇所がある為に、(社)電気学会の調査専門委員会で共同実験を行い、IECに新たな提案をしました。

その委員会「繰返しインパルスにおける部分放電計測調査専門委員会」による電気学会技術報告1218号「繰返しインパルスにおける部分放電計測とインバータサージ絶縁」が2011年の4月に発行されています。

この中に最近の文献が紹介されており「従来の商用周波数(50Hz/60Hz)で試験する部分放電試験器と異なり、印加するインパルス電圧に重畳される部分放電信号を検出する為に、通常高周波のみを検出する方法がとられる事から信号を積分して電荷を求めることはできません。」とあります。

部分放電・コロナ放電対策室 インバーターで使用されるモーターの写真
(写真) インバーターで使用されるモーター

また電気学会(2010年3月70頁)報告では、交流電圧での部分放電計測法IEC60270で規定されているpC(ピコクーロン)単位の電荷校正は原理的に不可能であると報告されています。
電気学会JEC-0401-1990の部分放電規格には計算式が示されていますが、本当の電荷を測定できないので、測定値を"見かけの放電電荷"と称する、と記してあります。(真値は分からないという事です。)

以上の理由により、当社では高周波部分放電試験(コロナ放電試験)において電荷量を測定しません。
「繰返しインパルスにおける部分放電計測とインバータサージ絶縁」(電気学会技術報告書第1218号)をご覧になり、必要に応じて基の文献を参照されることをお薦めします。



なお、当社アドフォクスのXTシリーズでは以下のようにしてコロナ放電を検出します。

(1) コロナ検出方法
コロナ放電が発生した時には、低周波から3GHzに及ぶ放電信号が発生します。
そこで、アドフォクスのコロナ放電試験器XTシリーズは、10MHz〜50MHzの信号を検出してコロナ放電の有無を判定しています。

(2) 標準機
標準コロナ発生器(CR1001)を使用して、当社XTシリーズは調節、検査の後に出荷しています。

コロナ発生器
(写真) 標準コロナ発生器(CR1001)

標準コロナ発生器の特性は東京都立産業技術研究センターにて測定し、評価してあります。
(しかし、V-Q測定には高周波の電荷を求めることが出来ない問題と、本当の電荷は測定できない問題があります。この標準コロナ発生器とV-Q測定の件については別途、記事を起こします)


………
前回に比べると専門の方には今回の方が話が早かったかと思います。

当ブログでは色々な立場の方を対象として、色々な角度から説明を試みます。
お困りの事象に一つでもお役に立てれば幸いです。

もし、部分放電やコロナ放電で困っていたり、絶縁破壊の原因が部分放電と疑わしい場合には、気軽に当社まで御問い合わせ下さい。




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2011年12月28日

コンデンサのコロナ放電測定

コロナ放電試験器を開発・製造しておりますアドフォクスです。
すっかり寒く、冬らしくなりましたが皆様如何お過ごしでしょうか。

冬は晴天率が高いですが、たまに曇ったときも冬らしい景色になりました。

部分放電・コロナ放電試験器の導入
(写真) 冬らしい曇り空

空気も乾いてきたので、当社アドフォクスでは加湿器をフル稼働しています。
(もっとも、当社ではコロナ試験器を開発している関係で常に湿度を管理していますが)
皆様も外出した後は、うがいと手洗いをして風邪を引かないよう気をつけて下さい。


さて、今回はコンデンサのコロナ放電測定について解説します。

コンデンサに限らず、素子は抵抗成分、容量成分(キャパシタンス)、誘導成分(インダクタンス)の合成によって成り立っています。
これ等は周波数によって定まる抵抗成分があり、リアクタンスと言います。その単位はオーム(Ω)です。

純抵抗の場合は、オームの法則により、

  電流I[A] = 電圧E[v] / 抵抗R[Ω]

という関係が成り立ちます。

キャパシタンスCやインダクタンスLについては周波数fによってリアクタンスが定まり、式は以下の通りです。

  Lのリアクタンス  XL = 2πfL [Ω]

  Cのリアクタンス  XC = 1/(2πfC) [Ω]

今回はコンデンサの測定なので、Cのリアクタンスの式を使用します。


それでは実際にコロナ放電試験器※で印加してみます。
まずは確認の意味で、純抵抗を測定します。
※測定器:adphox コロナ放電試験器 XT-330 PB39a

グラフ1は純抵抗1MΩに25kHz、1kVrmsを印加した際の電流波形です。

測定1
(グラフ1) 純抵抗のコロナ放電測定 (オレンジ:電圧、水色:電流)

電流と電圧の増減は位相が合っています。

グラフ1の回路図は図1の通りです。

回路図:純抵抗のコロナ放電検出
(図1) 純抵抗のコロナ放電測定


それでは次はコンデンサに印加します。
ここで改めて式を確認すると、キャパシタンスのリアクタンスは周波数に反比例して小さくなります。

 Cのリアクタンス  Xc = 1/(2πfC) [Ω]

周波数が高くなると小さな浮遊容量にも大きな電流が流れるため、電圧が高く出来なくなり、コロナ放電試験が出来なくなります。

そこで一工夫します。
今回使用したのは当社アドフォクスのXT-330 PB39aという試験器で、高圧プローブボックス内にある昇圧トランスのインダクタンスが調節出来ます。
測定するコンデンサCと印加する周波数に合わせてLCR共振するようにインダクタンスを調節すると、消費電力を抑えたコロナ試験が出来ます。

グラフ2はコンデンサ143pFに25kHz、1kVrmsを加えた電流波形です。

コンデンサのコロナ放電測定
(グラフ2) コンデンサのコロナ放電測定 (オレンジ:電圧、水色:電流)

グラフ2の回路図は図2の通りです。

回路図:コンデンサのコロナ放電検出
(図2) コンデンサのコロナ放電測定

グラフ2を見ると電流波形は電圧波形よりも90°位相が進み、電圧が最大の時には電流が0で、電流が最大のときには電圧が0となっています。
素子の消費電力は(電圧)×(電流)なので、積分すると消費電力は0になります。

消費電力が0と言うと変な感じがしますが、電圧が加わっているのでコロナ放電試験が可能です。


このように、コンデンサのコロナ放電試験を行なう場合、工夫無しに印加すると試験器に大きな電力が求められますが、LCR共振を利用すると、消費電力を抑えながらも高電圧かつ大電流の試験を行なうことが可能になります。

コンデンサの高周波におけるコロナ放電についての解説は以上です。
ご質問など御座いましたら、当社お問合せフォームまでお願い致します。




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2011年12月07日

高周波の部分放電は電荷量が分からない

部分放電試験器(コロナ放電試験器)のメーカーのアドフォクスです。
皆様お元気でしょうか。

今週末12/10には皆既月食があります。
恐らく多くの方が宇宙に目を向けることと思います。

部分放電試験と放電量検出について
(写真) 月と宇宙

科学が進歩した現在、知識の蓄積と拡大に伴い、何でも分かっているように感じますが、実は逆に分からない範囲が広がったと言えます。
そういった未知の領域の一つ、宇宙の始まりを解明する為の装置としてスーパーカミオカンデというニュートリノ検出装置があります。

スーパーカミオカンデはニュートリノを検出する目的で地表から1,000メートルという地中深くにあります。
地球には常に宇宙線が降り注いでおり、大気や物質を突き抜けながら衝突したり、反応してエネルギーを失って速度を落とし、停止してゆきます。
降り注ぐ宇宙線には幾つかの種類があり、ニュートリノは最後まで止まらずに地中まで突き抜けるので、地中深くに検出装置を置くことでニュートリノだけを検出することが出来ます。

ケタ違いの話だけにイメージし難い世界ですが、地表に住む私たちの体を常に宇宙線が貫いていると聞くのは何とも不思議なものです。

コロナ放電・部分放電対策室 導入挿絵
(写真) 宇宙線は突き抜ける。らしい…


さて、当社コロナ放電試験器の問い合わせで、電荷量を測りたいという問い合わせがありますが、当社のコロナ放電試験器は電荷量を測ることは出来ません。
これには理由があります。そして当社のコロナ放電試験器は「高周波・高電圧のコロナ放電」を検出するのに適するように考えた設計です。
詳しく解説すると難しくなりますので、要点に絞って説明します。

まず、電荷量の定義では50/60Hzで測定すると記述されています。そして高周波の場合の計測方法は定義されておらず、結果として「高周波の場合には電荷量を計測できない」というのが当社の結論です。
(電気学会の資料にも「(高周波では)原理的に電荷校正はできない」という記述を繰り返し見ることが出来ます。)
※ 参考資料:電気学会技術報告 第1218号p28

高圧線
(写真) 従来の部分放電試験は50/60Hz

また50/60Hzの部分放電試験器を動作させると、空気中に存在するイオンによって10pC程度の電荷量が測定されますが、このイオンは紫外線や宇宙線、またその他の影響によって空気中に存在するものです。

以前に光の影響について書きましたように紫外線なら遮断できます。
しかし宇宙線の遮断は難しく、電荷量を測定する方式で感度を上げると、何を検出しているのか分からない状態が起きます。

例えば変電所のトランスを試験するなら使用周波数が50Hzや60Hzと低いので、放電の量を調べ規定年数に耐えられるか判断する事は可能で、意味があります。
しかしインバーター制御など周波数が桁違いに高い場合には、コロナ放電が少しでも起きていると、短い期間で製品を不良にしてしまいます。
故に、コロナ放電は少しでも起きてはいけないというのが当社の考えで、コロナ放電信号(電流)を検出してカウントする方式を取っています。

XT330
(写真) 当社コロナ放電試験器はコロナ信号をカウントする方式

コロナ放電信号は印加する電流に対して非常に小さいので検出が難しいのですが、当社では印加する電流波形の精度を高くすることで、コロナ放電電流の検出を可能にします。


最後になりますが、コロナ放電が発生する電圧は、気圧、温度、湿度により変わります。
環境による変動を考慮して、製品で使用される電圧の1.5倍以上の電圧でコロナ試験して判別するのが、高周波におけるコロナ放電対策に確実な試験方法と考えます。

部分放電検出の方法と電荷量についての当社の考えは以上です。
ご質問など御座いましたら、当社お問合せフォームまでお願い致します。




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コロナ放電解説記事(トランジスタ技術2009年3月号掲載)
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