2011年12月28日

コンデンサのコロナ放電測定

コロナ放電試験器を開発・製造しておりますアドフォクスです。
すっかり寒く、冬らしくなりましたが皆様如何お過ごしでしょうか。

冬は晴天率が高いですが、たまに曇ったときも冬らしい景色になりました。

部分放電・コロナ放電試験器の導入
(写真) 冬らしい曇り空

空気も乾いてきたので、当社アドフォクスでは加湿器をフル稼働しています。
(もっとも、当社ではコロナ試験器を開発している関係で常に湿度を管理していますが)
皆様も外出した後は、うがいと手洗いをして風邪を引かないよう気をつけて下さい。


さて、今回はコンデンサのコロナ放電測定について解説します。

コンデンサに限らず、素子は抵抗成分、容量成分(キャパシタンス)、誘導成分(インダクタンス)の合成によって成り立っています。
これ等は周波数によって定まる抵抗成分があり、リアクタンスと言います。その単位はオーム(Ω)です。

純抵抗の場合は、オームの法則により、

  電流I[A] = 電圧E[v] / 抵抗R[Ω]

という関係が成り立ちます。

キャパシタンスCやインダクタンスLについては周波数fによってリアクタンスが定まり、式は以下の通りです。

  Lのリアクタンス  XL = 2πfL [Ω]

  Cのリアクタンス  XC = 1/(2πfC) [Ω]

今回はコンデンサの測定なので、Cのリアクタンスの式を使用します。


それでは実際にコロナ放電試験器※で印加してみます。
まずは確認の意味で、純抵抗を測定します。
※測定器:adphox コロナ放電試験器 XT-330 PB39a

グラフ1は純抵抗1MΩに25kHz、1kVrmsを印加した際の電流波形です。

測定1
(グラフ1) 純抵抗のコロナ放電測定 (オレンジ:電圧、水色:電流)

電流と電圧の増減は位相が合っています。

グラフ1の回路図は図1の通りです。

回路図:純抵抗のコロナ放電検出
(図1) 純抵抗のコロナ放電測定


それでは次はコンデンサに印加します。
ここで改めて式を確認すると、キャパシタンスのリアクタンスは周波数に反比例して小さくなります。

 Cのリアクタンス  Xc = 1/(2πfC) [Ω]

周波数が高くなると小さな浮遊容量にも大きな電流が流れるため、電圧が高く出来なくなり、コロナ放電試験が出来なくなります。

そこで一工夫します。
今回使用したのは当社アドフォクスのXT-330 PB39aという試験器で、高圧プローブボックス内にある昇圧トランスのインダクタンスが調節出来ます。
測定するコンデンサCと印加する周波数に合わせてLCR共振するようにインダクタンスを調節すると、消費電力を抑えたコロナ試験が出来ます。

グラフ2はコンデンサ143pFに25kHz、1kVrmsを加えた電流波形です。

コンデンサのコロナ放電測定
(グラフ2) コンデンサのコロナ放電測定 (オレンジ:電圧、水色:電流)

グラフ2の回路図は図2の通りです。

回路図:コンデンサのコロナ放電検出
(図2) コンデンサのコロナ放電測定

グラフ2を見ると電流波形は電圧波形よりも90°位相が進み、電圧が最大の時には電流が0で、電流が最大のときには電圧が0となっています。
素子の消費電力は(電圧)×(電流)なので、積分すると消費電力は0になります。

消費電力が0と言うと変な感じがしますが、電圧が加わっているのでコロナ放電試験が可能です。


このように、コンデンサのコロナ放電試験を行なう場合、工夫無しに印加すると試験器に大きな電力が求められますが、LCR共振を利用すると、消費電力を抑えながらも高電圧かつ大電流の試験を行なうことが可能になります。

コンデンサの高周波におけるコロナ放電についての解説は以上です。
ご質問など御座いましたら、当社お問合せフォームまでお願い致します。




[リンク一覧]
アドフォクス 測定器トップページ
コロナ放電解説記事(トランジスタ技術2009年3月号掲載)
アドフォクス 御問合せページ
posted by adphox.xt at 18:02 | TrackBack(0) | 試験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月07日

高周波の部分放電は電荷量が分からない

部分放電試験器(コロナ放電試験器)のメーカーのアドフォクスです。
皆様お元気でしょうか。

今週末12/10には皆既月食があります。
恐らく多くの方が宇宙に目を向けることと思います。

部分放電試験と放電量検出について
(写真) 月と宇宙

科学が進歩した現在、知識の蓄積と拡大に伴い、何でも分かっているように感じますが、実は逆に分からない範囲が広がったと言えます。
そういった未知の領域の一つ、宇宙の始まりを解明する為の装置としてスーパーカミオカンデというニュートリノ検出装置があります。

スーパーカミオカンデはニュートリノを検出する目的で地表から1,000メートルという地中深くにあります。
地球には常に宇宙線が降り注いでおり、大気や物質を突き抜けながら衝突したり、反応してエネルギーを失って速度を落とし、停止してゆきます。
降り注ぐ宇宙線には幾つかの種類があり、ニュートリノは最後まで止まらずに地中まで突き抜けるので、地中深くに検出装置を置くことでニュートリノだけを検出することが出来ます。

ケタ違いの話だけにイメージし難い世界ですが、地表に住む私たちの体を常に宇宙線が貫いていると聞くのは何とも不思議なものです。

コロナ放電・部分放電対策室 導入挿絵
(写真) 宇宙線は突き抜ける。らしい…


さて、当社コロナ放電試験器の問い合わせで、電荷量を測りたいという問い合わせがありますが、当社のコロナ放電試験器は電荷量を測ることは出来ません。
これには理由があります。そして当社のコロナ放電試験器は「高周波・高電圧のコロナ放電」を検出するのに適するように考えた設計です。
詳しく解説すると難しくなりますので、要点に絞って説明します。

まず、電荷量の定義では50/60Hzで測定すると記述されています。そして高周波の場合の計測方法は定義されておらず、結果として「高周波の場合には電荷量を計測できない」というのが当社の結論です。
(電気学会の資料にも「(高周波では)原理的に電荷校正はできない」という記述を繰り返し見ることが出来ます。)
※ 参考資料:電気学会技術報告 第1218号p28

高圧線
(写真) 従来の部分放電試験は50/60Hz

また50/60Hzの部分放電試験器を動作させると、空気中に存在するイオンによって10pC程度の電荷量が測定されますが、このイオンは紫外線や宇宙線、またその他の影響によって空気中に存在するものです。

以前に光の影響について書きましたように紫外線なら遮断できます。
しかし宇宙線の遮断は難しく、電荷量を測定する方式で感度を上げると、何を検出しているのか分からない状態が起きます。

例えば変電所のトランスを試験するなら使用周波数が50Hzや60Hzと低いので、放電の量を調べ規定年数に耐えられるか判断する事は可能で、意味があります。
しかしインバーター制御など周波数が桁違いに高い場合には、コロナ放電が少しでも起きていると、短い期間で製品を不良にしてしまいます。
故に、コロナ放電は少しでも起きてはいけないというのが当社の考えで、コロナ放電信号(電流)を検出してカウントする方式を取っています。

XT330
(写真) 当社コロナ放電試験器はコロナ信号をカウントする方式

コロナ放電信号は印加する電流に対して非常に小さいので検出が難しいのですが、当社では印加する電流波形の精度を高くすることで、コロナ放電電流の検出を可能にします。


最後になりますが、コロナ放電が発生する電圧は、気圧、温度、湿度により変わります。
環境による変動を考慮して、製品で使用される電圧の1.5倍以上の電圧でコロナ試験して判別するのが、高周波におけるコロナ放電対策に確実な試験方法と考えます。

部分放電検出の方法と電荷量についての当社の考えは以上です。
ご質問など御座いましたら、当社お問合せフォームまでお願い致します。




[リンク一覧]
アドフォクス 測定器トップページ
コロナ放電解説記事(トランジスタ技術2009年3月号掲載)
アドフォクス 御問合せページ

posted by adphox.xt at 17:36 | TrackBack(0) | 試験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。